仕事のミスを気にしない!

働き方改革

人は誰しも、仕事でミスをしてしまうことがあります。人間である以上、ミスをなくすことはできません。にもかかわらず、ミスをすると落ち込んだり、怒られたり、また相手のミスに怒ってしまったりします。

こうしたミスに対するネガティブな反応によって、我々のメンタルは疲弊していきます。ミスに付随する自分や他人の反応で、精神が摩耗していくのです。

今回は、なぜミスがネガティブな反応を引き起こすのか考えた上で、付随するメンタルへの影響について考え、ネガティブな反応を引き起こさないようにするための判断基準を紹介します。

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なぜミスがネガティブな反応を引き起こすのか

そもそもなぜ、人間はミスに直面してネガティブな反応をしてしまうのでしょうか。以下では2つの切り口で考えてみます。

人間はミスをするという前提の不在

ネガティブな反応をしてしまう主な原因は、人間はミスをするという前提が抜け落ちているということです。ミスをしたときに落胆するのも、相手のミスにイライラするのも、基本的にはこれが原因です。もし人間がミスをするものだということを真に理解し、受け入れられていたら、人間はミスをする毎に落ち込んだり、イライラするはずがありません。

人間の生理現象を例にとれば、より理解しやすいかもしれません。我々は、お腹が減ったり、眠くなったり、他にもトイレに行きたくなったり、オナラやゲップが出たりします。別にトイレに行きたくなったからと言って自分を責めたりしないし、よほど短気な人でなければお腹が減っている人に怒ったりしません。これは、”そういうものだ”と思えているからです。また、これらが当たり前だと思えているからこそ、お腹が減らないように定期的に食事の時間を設けたり、トイレに行ける時間帯を設けることで、問題が起きないようにしています。

ところが我々は、ミスをすることについては、”そういうものだ”とは思えないのです。ミスをしないことを自分や他人に期待するから、その期待が裏切られた時にネガティブな反応を起こすのです。本来的には、よほど重篤な過失でなければ、ミスをしたなら訂正したり、同じミスを繰り返さない方法を考えれば良いだけの話です。お腹が減ってしまったら食事を取ればいいし、大事な時間に眠くならないように、前の日に睡眠時間を確保したりするのと同じです。

失敗を許容しない社会的風潮

ではなぜ、我々はミスをすることを受け入れられていないのか。私は、日本の教育の問題であり、それに起因する社会的風潮の問題だと考えています。

日本の教育は、失敗を許容するような人を育てるシステムになっていません。全員が同じペースで同じ内容を学び、教室ではまじめで従順な姿勢が評価されます。つまり、失敗しないことが評価されるのです。役所の人間を育てるには向いていますが、本来人間に適した教育ではありません。そのようなシステムで教育された人間がミスに対する寛容さを持っていないとしても、それは自然なことかもしれません。

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ミスの悪影響

以上みてきたように、本来人間はミスをするものであるにもかかわらず、ミスが許容されにくい社会的風潮があります。そのため、ミスに対して自分や他人のネガティブな反応が起こりえます。以下では、ミスに対するネガティブな反応が仕事の生産性を落とすということについて書いていきます。

ミスをしたときに自分のミスに落ち込んだり、怒られて落胆したり、相手のミスに怒ってしまったりすると、仕事に集中できなくなります。2014年のベルギーでの研究によると、苛立ちの持続時間は1時間強、ストレスは3時間、怒りは5時間、そして落胆や悲しみは、1日を超える持続時間になっています。

感情27種類の持続時間とは?悲しみは5日間、怒りは2時間

https://swingroot.com/emotion-duration/

また一方で、仕事の生産性と幸福感(及び不幸感)の関係を探る研究が様々行われています。例えば広島大の以下の研究では、従業員の勤務中の幸福感が従業員の労働生産性を高めることを解明しています。

【研究成果】幸福感が労働生産性を高めることを解明

https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/56522

これらを踏まえると、仕事中に”苛立ち”、”ストレス”、”落胆”、”悲しみ”などのネガティブな感情を催すことが、仕事の生産性を下げることが容易に想像できます。直感的にも理解できる内容ではないでしょうか。この仕事の生産性の低下は、人間がミスをすることが前提になっていれば、防げるのです。

ミスの判断基準

以上見てきたように、我々はミスを許容しにくい社会的風潮のせいで、ミスをすることで自分や他人のネガティブな反応を引き起こしてしまい、それが仕事の生産性を下げてしまいます。本来的にはすべてのネガティブな反応を排除したいですが、とはいえミスに直面すると、平静でいるのは難しいかもしれません。

以下では、ミスに直面した際にネガティブな反応に直結しないための判断基準について書きます。自分や相手にネガティブに反応しそうになった時に、まずは以下のようなことを考えてみるとよいでしょう。

ミスの影響は?

まず考えるべきは、ミスの影響の程度です。そのミスが業績に大きな影響を与えたり、経営幹部の判断を誤らせるようなもの、またコンプライアンスに反するものであれば、ある程度感情的になるかもしれませんし、自分に対して落ち込むのもやむなしです。

逆に言えば、ミスによって相手の確認作業が少し増えてしまったという程度の話であれば、ネガティブな反応をするような話ではないのです。課長に提出する日報で誤植があるとか、プレゼン資料中で細かなデータの誤りがあるとか、部内のメールやりとりでの打ち間違いで日付と曜日が一致していない、などです。これらは、一言相手にすみませんと言えば解決することであり、ネガティブな反応を起こすべきではありません。

ミスの頻度は?

ミスの頻度も重要な指標となります。A4用紙1枚の資料中で2か所も3か所も誤植があるようでは資料全体の信憑性を損ないかねません。また毎月の業績数字の報告が、いつもどこか間違っているというような場合も同じです。

逆に、何枚にもわたる資料の中で1か所だけ訂正がある程度の話であれば、ネガティブな反応をすべきではないかもしれません。ミスをしないことは目的ではなく、効率よく相手とコミュニケーションをとる手段です。ミスをしないことを過大評価しすぎて、重箱の隅をつつくようにミスを論うようなことはすべきではありません。

ミスの原因と対策は?

ミスというのはあくまで現象です。ミスが発生した時には必ず原因を考える必要があります

例えば、業務が複雑に入り組んでいて、改善が全く進んでいないためにミスが起きやすくなっていることが原因なのだとしたら、自分や相手にネガティブに反応する必要はありません。それよりも再発防止のための対策を練ることで、今後自分も相手もネガティブな感情によって生産性が下がることを防ぐことができます。ミスが起きやすい業務とその対策については、また改めて記事を書く予定です。

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