新型コロナウィルスの蔓延以降、在宅勤務をする人がずいぶん増えました。それに伴って、同じ姿勢で働くことのリスクがより意識されるようになりました。今回は、同じ姿勢で働くことが人間の体にどのような影響を与えるのか、またその解決方法を紹介します。
長時間の使用に長けていたオフィスチェア
オフィスにいた時は、有難いことにオフィスチェアを使用していた人が多いはずです。オフィスチェアは文字通り、オフィスで働くのに適したチェアです。見た目は無機質かもしれませんが、クッション性、高さ調節、通気性など、長時間座り続けても疲れない様々な工夫が施されています。
一方、元々多くの家にあったであろう椅子は、”インテリア“と呼ばれるような、デザイン重視の椅子だったはずです。座るのは食事の時くらいで、コロナ前は1日にせいぜい1-2時間座る程度だったのではないかと思います。
日本人は生活空間への美意識が高く、かつ空間全体と家具の調和を重視します。もともとオフィスチェアを持っていた人もいないわけではないですが、狭い居住空間や大きくない部屋のサイズに合わせて、こじんまりとした椅子を選ぶ人が多く、また材質も木材のような自然を感じられるものが人気です。そのように選ばれた椅子は、どうしてもオフィスチェアの持つ機能性を備えていません。コロナにより在宅勤務が始まり、初めて家の椅子に長時間座るようになり、体の不調を感じた人が多かったはずです。
同じ姿勢を続けるリスク”働く姿勢”
家にもオフィスチェアを導入すれば一定の改善が期待できますが、”椅子が悪い”ことが原因として片づけてしまうのではなく、今回はもう一歩踏み込んで、同じ姿勢を続けることのリスクについて考えてみます。
人間は本来、30分以上動かない状態を想定した身体設計になっていません。30分を超えると、血流が滞ります。そして血流が滞ることで、様々な身体の不調が現れます。以下の記事は”肩こりの原因とは?”についての記事の引用ですが、これらを参考にすれば、体にどういったことが起こるのか、容易に想像がつきます。
肩のまわりの筋肉にはたくさんの血管が通っています。筋肉の伸び縮みは、血液の循環を促し、全身に酸素や栄養を届けるポンプのような役割を果たしています。しかし、肩の筋肉に負担をかけると、筋肉が硬くこわばって血管を圧迫し、血行が悪くなってしまいます。すると、乳酸などの疲労物質が蓄積し、これが神経を刺激して、こわばりやだるさ、重さといった肩こり特有の症状を引き起こすのです。
https://www.healthcare.omron.co.jp/pain-with/shoulder-pain/cause-stiff-shoulders/
同じ姿勢を回避するためには
在宅勤務による体の不調の原因を、単に使用している椅子の質の問題ととらえるのではなく、そもそも同じ姿勢を続けることが体に悪いのだと理解できれば、必ずしもオフィスチェアを導入しなくても、改善策が出てきます。以下では2つの方法を紹介します。
立って仕事をできるようにする
同じ姿勢を続けることを回避するために、立って仕事ができる環境を整えることが、一つの改善策です。家の中で立って仕事をするのにちょうどいい高さのもの(本棚など)があればいいですし、高さが100cmを超えるような机を導入するのでも構いません。座り作業は一定時間を超えたら立って仕事をし、立ち仕事に疲れたら再び座る。これを意識的に繰り返すことで、気づいたら何時間も同じ姿勢で仕事をしていた、といった事態を防ぐことができます。
テーブルを昇降式のものに変える
オフィスチェアを導入したくはないし、立ち机を導入するのも嫌という場合には、テーブルを昇降式のものに変えることも、有効な改善策となります。今あるテーブルを昇降式に変えるだけで、立ち仕事も座り仕事もできるようになりますし、細かな高さ調整ができるようになるため、最も柔軟に対応することができます。昇降式のテーブルは、特に自動昇降タイプで値が張るのがデメリットですが、在宅勤務の広まりによって昇降式のテーブルのラインナップも増えています。デザイン・サイズ・機能・価格帯などを考慮し、自分に合うものを選んでもらえれば、自分の生活空間の調和と健康の維持を両立することができるでしょう。
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