なぜ在宅勤務に抵抗があるのか。

働き方改革

新型コロナウィルスの蔓延によって、俄かに人口に膾炙した”在宅勤務“。その恩恵を有難がっている著者のような人も多い一方で、コロナが収束したら早くオフィスに行きたい、と考えている人も多いようです。

在宅派か、オフィス派か。それぞれメリット・デメリットがあります。在宅勤務については過去に以下のように纏めていますので、ご参照ください。

今回は在宅ワークとオフィスワークどちらかがいいかという視点から一度離れて、そもそもなぜ、在宅勤務に抵抗がある人が多くいるのかについて考えてみます。

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なぜオフィスに行きたくなるのか

こういった問いを立てると、“オフィス(職場)で働くのは当たり前だろう”と思う人もいるかもしれません。しかし、果たしてそれは本当でしょうか。

コロナ前は今ほど在宅勤務が普及しておらず、社員がオフィスに集まって仕事をすることが当たり前でした。今考えれば毎日同じ時間に社員全員がオフィスに集まる必然性はなかったわけですが、同じ場所(工場)に集まって働くことは人々にとって常識になっていました。

私は、これは資本主義の発展に伴って人々の意識に刷り込まれたことだと考えています。

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人間にとっての”働く場所”とは

そもそも人は、昔から同じ場所で働いていたわけではありません。我々の生産様式には、”家内制”、”問屋制”、”工場制”などがあります。

  • 家内制では、調達・生産・販売をすべて自分で行います。
  • 問屋制では、調達・販売を問屋に任せ、生産は自ら行います。
  • 工場制では、資本家が工場を建て、そこに労働者を集めて生産します。

そして、工場制がまさに、近代の資本主義にとって非常に重要な役割を担うことになります。

工場の生産性が最重要だった時代=フォード

近代を象徴するものの一つが、T型フォードです。近代資本主義社会においては、資本家の元でいかに生産効率を高めるかが重要でした。それを実現するためには工場制が最適で、1箇所に人を集めて労働者を管理するようになります。工場制は、20世紀までは大変重要な生産様式でした。物質的な豊かさを追い求め、大量生産・大量消費により、人々も生活が豊かになっていく実感があればこそ、工場制は合理性を持つのです。

オフィスで働くことが当たり前になる

こうして人間は、働く時間と場所を会社から指定されるようになっていきます。工場部門の人だけでなく、営業部門もマーケティング部門も、バックオフィスも、全員が管理された働き方をするようになります。ほんの100年や200年の習慣ですが、それでも多くの人にとってオフィスで管理されて働くのが常識となりました。

生産性は機械に任せ、人間は創造性を担う時代

では果たして、工場制は現代でも最適なのでしょうか。一つ考えなければいけないのは、人間の役割が変わってきているということです。これまでは1箇所に人を集めることで生産性を高めてきましたが、それも頭打ちとなっています。また今後我々の生産性を大きく高めることになるのは、人間の創意工夫ではなく、機械です。システムであり、RPAであり、そしてAIが担っていきます。人間が担うのはむしろ、創造性の部分になるのです。

労働者の生産性を最優先に考えるという前提が変わるわけですから、当然働くのに適切な環境も変わるべきです。メーカーで実際に生産に携わっている人は今でも工場に集まって作業をした方が効率的かもしれませんが、アイディアを練るような仕事は、必ずしもオフィスで効率が高くなるとは限りません。

現状維持バイアスを超えて

人間には、現状維持バイアスがあります。現状を変えるより、変えない方がいいと判断しやすい脳の構造を持っているのです。本当はオフィスで働く必然性がないにも関わらず、オフィスで働くことを正当化しやすいのだということです。コロナは、オフィスで働く必然性・合理性があるのか、見つめ直す機会になるのかもしれません。

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