前回は、”AIとは何か”について書きました。
今回はAI・人工知能の歴史について書きます。俄かにブームの様相を呈している”AI”ですが、近年誕生したわけでは、もちろんありません。恐らく一般の方々が想像しているよりも長い歴史を経て、今のブームに至っているのです。
胎動
ENIAC - 世界初の汎用コンピュータ
現在のAIブームに至る長い歴史を、世界で最も早く造られたコンピュータから紐解きたいと思います。
1946年、2人のアメリカ人エッカートとモークリーが開発したENIAC(エニアック、Electronic Numerical Integrator and Computer)は、1秒間に5000回の加算を可能にし、それまでのコンピュータを凌駕する性能を示しました。このENIACを、“世界で初めて実用化された汎用コンピュータ”とする見方もあります。ENIACは現在のパソコンのイメージとは大きく異なり、トランジスタではなく2万本近い真空管を使い、15万W以上の電力を消費する、重量30tの”機械の部屋”といったようなものでした。
本来の開発目的は弾道の計算で、人間が方程式を解くのに7時間要していたところを、わずか3秒で解いたといいます。こういった高性能のコンピュータの開発は、人間の能力を超えていくことを十分に予見させるものでした。
ダートマス会議
もう1つの記念碑的な出来事が、1956年に人工知能の著名な研究者が参加したダートマス会議(米国NH州)です。ジョン・マッカーシーが”Artificial Intelligence(AI)”という言葉を初めて使った場としても知られています。この会議はブレインストーミングを中心に進められましたが、いくつかの重要な出来事もありました。
アレン・ニューウェルとハーバート・サイモンがデモンストレーションした”Logic Theorist“(ロジック・セオリスト)はそのうちの1つで、四則演算しかできないと思われていたコンピュータを用いて数学の定理を証明することが可能であることを示しました。
また、この会議の提案書では、自然言語処理、ニューラルネットワーク、抽象化、創造力など、現在のホットトピックや未実現の項目をも含んでいます。
第1次AIブーム (推論と探索の時代)
AIの領域で初めてブームと呼べる状態が訪れたのは、1950年代後半から1960年代の第1次AIブームです。この時期には後述の”推論“や”探索“の研究が進みました。パズルや迷路を人間よりも早く解けるようになった反面、現実の複雑な問題に対してはまだまだ有力ではなく、徐々にブームが去っていきました。詳しくは以下の記事を参照ください。
第2次AIブーム (知識の時代)
1970年代には米英でAIの研究資金供給が打ち切りになるなど、第1次AIブーム終焉後の”AIの冬第1期“に突入していました。その後、70年代後半から80年代にはエキスパートシステムの研究の進展とともに第2次AIブームが到来します。詳しくは以下を参照ください。
第3次AIブーム
知識獲得のボトルネックなどの要因もあり、2000年代にはAIは再び冬の時代を経験します。その後、2010年代以降現在まで続いている第3次AIブームの火付け役は、何といっても機械学習(マシンラーニング)とディープラーニング(深層学習)です。詳しくは以下をご覧ください。
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