働き方改革が叫ばれるようになって久しいですが、働き方改革の中のテーマの一つである業務の効率化の手段で年々注目度が高まっている技術がRPAです。今回は、RPAの概要について紹介し、RPAがどういった事例で活用できるのかをイメージできるようになってもらうことを目標とします。
RPAの特徴
RPAはRobotic Process Automationの略です。文字通り、ロボットによって業務プロセスを自動化するということを指します。具体的には、Ui PathやBluePrismのようなRPAツールを使ってパソコン画面上での操作を自動的に行います。
例えばGoogleで”為替 JPY USD”と検索し、1番上に表示される最新の為替情報を取得、Outlookのメール本文に貼り付けて、件名を”XX月XX日 為替レート”とし、上司に送信するという仕事を毎日しているとしましょう。RPAでは、これらの動作をロボットが実行するための命令を作り、一旦命令を作ったら、あとは実行ボタンを押すだけで、ロボットが決められた動作をしてくれます。
ここでロボットと聞いた時に、工場にあるような巨大な機械を想像しないようにしましょう。RPAでいうロボットとは、目に見えないソフトウェアのプログラムのことです。RPAでロボットが動いている様子は、人間がパソコンを操作しているのと全く変わりません。画面だけ見ていたら人間が操作していると勘違いされることもあります。
また、ソフトウェアで命令を作成するというと、プログラミングを想像するかたもいると思いますが、RPAではプログラミングスキルが最小限で済みます。上の例でいうと、Googleで為替を検索するという動作のために、プログラミングであればコードを白紙状態から記述する必要があります。しかしRPAであれば、”webを検索する”部品のようなものが存在し、それを使うことでコードを記述する必要がなくなります。もちろん多少プログラミングの要素もありますが、初心者にとっては圧倒的に取り組みやすいのがRPAの特徴です。いわゆる”ローコード”という、最小限のプログラミング言語でプログラムを組めるのが、RPAです。
RPAのメリット・デメリット
次に、RPAのメリット・デメリットをまとめます。
RPAのメリット
RPAのメリットは単純業務をプログラミング初心者が自動化できることです。上の例のような単純な業務を日々繰り返している人は多いはずです。そのような作業は、実行している人にとっても会社にとっても自動化したい仕事です。とはいえ、IT系のバックグラウンドがない人にとっては、業務の自動化をする手段がありません。Excelであれば関数を駆使したり、上級者になればVBAを使って自動化できますが、普通のサラリーマンでExcel以外の業務を自動化する手段を持っている人はとても少ないはずです。かといって、一からプログラミングを勉強するのも大変です。
そのような状況で威力を発揮するのがRPAです。RPAでは最小限のプログラミング知識で業務を自動化できるので、細かな手作業をたくさん実行していて、かつ労働生産性の向上に喘いでいる日本の企業には非常に有益なツールとなるのです。
RPAのデメリット
一方デメリットは、そうは言ってもITリテラシーの低い人や論理的思考に弱い人にはハードルが高いのと、プログラミングに比べるとどうしても融通が効かないことです。特に高齢層でITリテラシーが著しく低いと、RPAを組み立てることも困難な可能性があります。またRPAでロボットに対する命令を作成する時には、”変数”を使ったり、命令の実行を”条件分岐”させたりします。数学に強かったり、もしくは数学的な論理的思考に慣れていないと、うまく作成できないかもしれません。
また、RPAは既存の部品を使って全体の命令を作るので、どうしてもプログラミングより融通が利きません。
RPAの活用事例
ここまでRPAの概要とメリット・デメリットを紹介しました。メリットデメリット両面ありながら、やはりRPAは企業の業務改善に幅広く使える可能性のある、有用なツールです。以下では、活用事例の例を挙げていきます。
フォルダ操作
RPAではフォルダ操作が可能です。フォルダ上でファイルをコピーしたり、削除したり、保存したり、開いたり、zip化することができます。
ウェブ操作
RPAではウェブ操作が可能です。検索で出てくるサイトもそうですが、自社の社内システムの操作でも活躍します。ウェブを操作し、所定のフォルダにファイルをダウンロードするような作業ももちろん可能です。
メール操作
RPAではメーラーの操作も可能です。宛先やCCの設定、添付ファイルの設定、件名、本文全て設定できます。前述の機能と合わせて、ウェブ操作から取得したファイルをフォルダに保存し、それをメールに添付して送信するような操作を自動化できます。条件分岐によって宛先を分けたり、件名を日付に合わせて変更するような設定もできます。
Officeアプリを操作する
RPAを使ってExcelやWordなどofficeアプリを操作することができます。Excelではマクロを起動することもできますので、RPAとマクロを組み合わせてダイナミックな自動化が可能になります。
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