ファシリテーション、またはファシリテーターという言葉を知っていますか?ファシリテーションは仕事の効率化に欠かせない一方で、まだまだ認知度が低い印象があります。今回はファシリテーションについて、言葉の意味や役割を紹介します。
言葉の意味
ファシリテーション(facilitation)とは英語のfacilitateという動詞の名詞系です。facilitateの意味は何かを楽に(容易に)したり、手伝ったり、促進したりするという意味です。その名詞形であるfacilitationという言葉は、ビジネスで使う場合には会議の進行をしたり、プロジェクトを促進したりする意味合いになります。
ファシリテーターがいないとどうなるか
上述の言葉の意味の中でも特に、会議の場で全体の進行役を務め、会議の生産性を高めるためのファシリテーションに、注目が集まっています。ファシリテーションの意義を確認するために、ファシリテーター不在の会議によくある非生産的な会議の例を挙げてみましょう。
方向性がわからないまま会議が進む
目的や目標が共有されず、方向性がわからないまま会議が始まることはありませんか?これらが共有されていないと、参加者は一体何を目指して、どのように発言すればいいのか迷うことになります。
本筋を外した議論に時間を費やす
会議は人間が行うものですから、自然と議論が本筋から外れることがあります。そこでファシリテーターがいないと、議論を本筋に戻すことは容易ではありません。参加者が言いたいことをお互い言いあうだけの議論になってしまう可能性もあります。
何も決まっていない、何が決まったのか分からない
ファシリテーターがいないと、白熱した議論の末、何も決まらなかったという事態が発生し得ます。もしくは、なんとなく議論が一区切り着いたものの、”結論はどうなったんだろう”と疑問が残ることもあります。会議の結論が参加者間で共有されていなければ、何のための会議だったのかわかりませんし、今後のアクションプランもわかりません。
ファシリテーションの役割
上述のように、ファシリテーターがいないと、会議の生産性が低くなる可能性があります。せっかく会議を開催したのに、議論が弾まず、所定の時間を大幅に超過し、されど何が決まったのか分からないような会議になることは避けるべきです。そして、このような非生産的な会議にならないように”促す”のが、ファシリテーターです。以下では、会議におけるファシリテーターの役割を挙げます。
前準備を行う
いきなり会議を始めるよりも、ファシリテーターが会議の前準備を行った方が生産性が高くなることがあります。例えば全員に同じ資料を一読してほしい場合には、会議の場で読み上げるよりも、事前配布して一読した状態で会議に参加してもらう方が生産的です。
また、何か新しいアイディアを募る場合には、予め案を考えてきてもらってから会議に入る方が生産的です。
会議の目的・目標を示す
議論を始める前に目的と目標を明確にすることで、会議の方向性を定めます。これによって参加者が発言しやすくなったり、脱線しにくくなります。
例えば、「今日の会議中に、業務改善策を5個以上決め、担当者と期限を決めます」とか、「今日は導入予定の新システムについて、当部としての意見を集約します。事前配布した資料を基に賛成・反対を教えてください」と言われれば、参加者は会議の目的や目標がクリアに理解できます。
出席者に発言を促す
会議では意見がある人間は発言すべきですし、逆に発言する気がないなら本来は会議に出るべきではありません。とはいえ、多くの日本人は会議の場では発言することに抵抗を覚えます。発言していない人に話を振ったり、いま議論されている内容で違った視点を持っていそうな人に意見を求めることも、ファシリテーターの役割です。
議論を軌道修正する
会議は生き物です。事前に目的・目標を共有してからスタートしても、思わぬ方向に議論がずれていくこともしばしば。そんな時は、ファシリテーターが軌道修正を行います。議論している当事者に敬意を払いつつ、本来議論すべきテーマに戻します。
例えば、「XXさん、貴重なご意見ありがとうございます。XXさんのご指摘は尤もですが、今日は△△にテーマを絞って議論を進めていきましょう」と言えば、参加者へのリスペクトを保ちつつ、議論を軌道修正することができます。
議論を纏め、結論を導く
せっかく議論が盛り上がっても、盛り上がったまま終わってしまってはいけません。必ず各議論の大筋をファシリテーターが理解し、纏めていきます。会議の終わりには、会議全体の内容を要約し、結論を導きます。その際には、その日の議論だけでなく、今後のアクションプランやその実行者、期限も明確にし、会議が終わったらすぐに参加者が次のアクションに移れるようにします。ここまで辿り着いて初めて、実りの多い会議が実現するのです。
ファシリテーションで会議を生産的に
以上見てきたように、ファシリテーターには多くの役割があります。ファシリテーションがうまくいくかどうかで、会議の生産性は大きく変わってくるのです。
会議に関しては、会議の無駄を増やす三大要素は、会議が終わっても何も決まっていないこと、終了時刻が延びること、些細な議題で会議を開くことであるという調査結果があります。ファシリテーションは、これらの要素に大きく関わります。会議の前準備を行い、会議の目的・目標を明確にし、議論を活発にしつつ本筋を外れないようにし、結論を明確にできれば、会議の無駄が少なく、得られるものも多くなるのです。
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