G検定で例年出題される、AIに対して著名人がどのような意見を表明しているかを纏めました。
AIの定義について
大方一致する意見としては、人工知能は推論、認識、判断など、人間と同じ知的な処理能力を持つ機械(情報処理システム)であるということ。大方であり、誰でも、ではない。
アーサー・サミュエル(米, Arthur Samuel)
1901年生まれ。機械学習を「明示的にプログラムしなくても学習する能力をコンピュータに与える研究分野」と定義するなど、人工知能の基本的概念をいち早く世界に示した。
ジョン・マッカーシー (米, John McCarthy)
1927年生まれ。1956年のダートマス会議で”Artificial Intelligence”という言葉を初めて使用した。
ジョン・サール (米, John Searle)
1932年生まれ。哲学者。UC Berkeleyの名誉教授、ニクソン大統領時代の大学問題大統領特別顧問。人工知能の批判で知られ、1980年の”脳、心、プログラム”という論文内で強いAI/弱いAIという言葉を使い、中国語の部屋という思考実験を行った。
日本人によるAIの定義
松尾豊 (東京大学教授 / 日本ディープラーニング協会理事長)
人工的につくられた人間のような知能、ないしはそれをつくる技術
長尾真 (京都大学名誉教授)
人間の頭脳活動を極限までシミュレートするシステム
山口高平 (慶應大学教授)
人の知的な振る舞いを模倣・支援・超越するための構成的システム
中島秀之 (札幌市立大学学長)
人工的に作られた知能を持つ実態。あるいはそれはつくろうとすることによって知能自体を研究する分野である
シンギュラリティについて
レイ・カーツワイル (米, Ray Kurzweil)
1948年生まれ、MIT出身のアメリカ人。2005年に”The Singularity Is Near”を出版。その中では2010年代にPCの小型化やVRグラスの登場を予想、更に15年に家庭用ロボットが家を掃除する可能性を指摘しています。その著書の中で、2045年にシンギュラリティが来ると予想した。
ヒューゴ・デ・ガリス (豪, Hugo de Garis)
1947年生まれ。遺伝的アルゴリズムの分野で業績を上げ、その後国際電気通信基礎技術研究所(ATR)のプロジェクトに参画後、厦門大学の教授を務めた。近年ではシンギュラリティが21世紀の後半に到来し、そのとき人工知能は人間の知能の1兆の1兆倍になると予想している。
ヴァーナー・ヴィンジ (米, Vernor Vinge)
1944年生まれ。SF作家。シンギュラリティのアイディアを普及させることに寄与した。
シンギュラリティは「機械が人間の役に立つふりをしなくなること」と定義
スティーブン・ホーキング(英, Steven Hawking)
1942年生まれ。1965年にブラックホールの特異点定理を発表して世界的名声を得た。
「完全な人工知能を開発で来たら、それは人類の終焉を意味するかもしれない」
オレン・エツィオーニ (米, Oren Etzioni)
1964年生まれ。2014年に設立されたアレンAI研究所でCEOを務める。シンギュラリティについては以下のように発言。
たとえば100万年後、特異点を迎える可能性はあります。けれど賢いコンピュータが世界制覇するという終末論構想は『馬鹿げている』としか言いようがありません。
イーロン・マスク (米, Elon Musk)
1971年生まれ、テスラ・スペースXの創設者。
シンギュラリティの到来に危機感を持ち、「人間レベルの人工知能が、実現可能になった時に、自己利益よりも良い成果を優先する」ことを目的に非営利のAI研究組織OpenAIを設立した。OpenAI社は2020年にGPT-3を開発した。GPT(Generative Pretrained Transformer)は自然言語での指示に臨機応変に対応してくれる人工知能。「インスタグラムみたいなアプリを作って」と言葉で指示するだけで実際にそっくりのアプリを作り出してしまう。
またコンピュータを通じて脳と人工知能を接続することを目的にNeuralink社を設立。BMI(Brain Machine Interface)という、脳に直接電極を差し込んで記録をする分野で人間用のBMIを開発中。
その他の人物
ジェフリー・ヒントン (英, Geoffrey Hinton)
1947年生まれ。トロント大学名誉教授、Google Research首席研究者。
ILSVRC2012で、それまでの優勝者はSVMだったが、ディープラーニングを用いたAlexNetを使って優勝。2006年にはトロント大学でオートエンコーダを提唱。
イアン・グッドフェロー (米, Ian Goodfellow)
1985年生まれ。スタンフォード大学・モントリオール大学を経てGoogle・Apple・Open AIなどに勤務。2014年にGAN(Generative adversarial networks, 敵対的生成ネットワーク)を提唱した。
ヤン・ルカン (仏, Yann Le Cun)
1960年生まれ。CNN(Convolutional neural network, 畳み込みニューラルネットワーク)の主要な創設者のひとり。第3次AIブームが到来する前の1988年に誤差逆伝播法などを使うことで高精度のニューラルネットワークを構築できるという論文を書いた。その内容が生かされたディープラーニングのモデルがLeNet。
また、グッドフェローの提唱したGANを、この10年間で最もおもしろいアイディアであると評価した。
ヨシュア・ベンジオ (加, Yoshua Benjio)
1964年生まれ。ジェフリー・ヒントン、ヤン・ルカンとともに”AIのゴッドファーザー”と呼ばれており、1990年代から2000年代にかけてのディープラーニングの発展に最も貢献したと言われる。
トマス・ミコロフ (チェコ, Tomáš Mikolov)
1982年生まれ。ブリュン工科大学を経てGoogleに加入。2013年に自然言語処理のためのword2vecに関する論文を書いたことが有名だが、それ以外にもdoc2vec(2014年)、fasttext(2016年)の論文にも携わっている。
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